ヨーロッパ・サッカー 監督の辞任・解任・契約サイクルの短縮はなぜ
ヨーロッパ・サッカーではクラブ運営においてチャンピオンズリーグ(CL)の出場の重要性が年々増しています。2018年6月、イングランドプレミアリーグの名門クラブ、アーセナルで22年に渡り指揮を取った、A・ヴェンゲル監督が任期を終えました。面向きは辞任ですが、実質はCL不出場による、解任です。
クラブはその前年にアーセナルが連続出場していた、CL出場権を逃したにもかかわらず、監督の契約を延長させます。しかし、翌年もCL出場権を獲得できないとわかったシーズン途中でヴェンゲルがシーズン終了をもってクラブを去ると、発表したのです。
アーセナルはヴェンゲル監督の長期指揮の元、約20年に渡り上位の成績を残し、その間クラブは監督のアドバイスで、新スタジアムを建設、クラブ財政も改善してきました。しかしヴェンゲルのこれまでの功績を考慮しても、クラブ経営陣は巨額の資金をもたらすCLの出場権を逃した事を無視できなかったのです。同じ2017ー2018シーズン、チェルシーは前年にリーグ優勝したA・コンテ監督を翌シーズンのCL出場権を逃した事で、僅か2年で解任しています。ヨーロッパ・サッカーでは巨額の資金をもたらすCLの重要性が増し、1年でも空白が出るとクラブ経営に大きな影響が出ます。そのためCL出場権の獲得は最優先事項であり、その事が監督の交代サイクルの短縮につながっているのです。
ヨーロッパ・サッカーのクラブは多くのプレッシャーの中、ビッグクラブの経営陣はCL不出場の期間を作らないように、と常に考えています。そのため少しでも負けが続くと、監督を解任して順位を下げないようにしているのです。これからもヨーロッパ・サッカーの監督の「サイクル短縮化」は止まらないと考えられます。